
大学受験を目指す高校生が直面する大きな悩みのひとつが受験と部活の両立です。これは私が毎年のように受験生から受ける質問のひとつでもあります。ビジネスにおいてとても重要な考えとして「選択と集中」というものがあり、特定の分野に経営資源を集中することを指します。このような考えをもとに受験と部活の両立を考えると、受験>部活となるのかも知れません。しかし高校生の皆さんにとってはそうはならないからこそ大きな悩みになるのだと思います。
最近の傾向としての前提条件
受験と部活の両立を望む学生が多いのは昔も今も変わりません。ただ私の高校時代には、部活に精を出す学生は浪人も視野に入れながら受験に臨んでいました。現に私も、また仲間の多くも浪人しました。しかしこれは最近の傾向なのでしょうか、現役合格を絶対条件としている学生が多いように感じています。またこれは土地柄なのでしょうが、特に進学校に通っている高校生が志望する大学はほとんどが国公立大学です。つまり、「部活をやりながら、国公立大学に現役合格する」ことを前提に受験を考えている学生が多いようです。そこでこれを前提条件として考えてみたいと思います。
共通テスト対策

プラグイン 12
国公立大学の受験には共通テストが必須です。二次試験における共通テストの占める配点比率は学校によって違いはありますが、大体20~50%くらいです。50%に近い数字となれば、受験に与える共通テストの影響はかなり大きいと考えられますから、共通テスト対策が大きなポイントと考えておいても良いかと思います。
ご存じの通りセンター試験から共通テストに変更となりました。従来のセンター試験と比べると格段に読解力を要する出題形式に変わり難易度が上がりました。さらに最近では「情報」が教科として加わり、受験生の負担は増すばかりです。
進学校などでは授業の中で共通テスト対策を進めてくれたりするようですが、基本的には高3になってからのようです。センター試験は高3の秋からの対策でもなんとかなるといわれていましたが、共通テストは難易度が上がったこともあり、高3よりは高1・2から対策を始めるべきだといわれています。つまり、共通テスト対策を考えると受験に必要な勉強時間が増す方向にあると考えられます。
以下は関連リンクです。
「共通テスト対策(その1)」いつ始めるか?_豊明×塾×高校生 – Learning Base AWAKE
「共通テスト対策(その2)」作成方針・試作問題_豊明×塾×高校生 – Learning Base AWAKE
「共通テスト対策(その3)」実践的対策_豊明×塾×高校生 – Learning Base AWAKE
受験までの持ち時間
以前にブログに投稿しましたが、一般的に言って大学受験には一定の勉強時間(3,000~4,000時間)が必要です(リンク:大学受験に必要な勉強時間_豊明×塾×高校生 – Learning Base AWAKE)。しかし一人ひとり与えられている持ち時間は平等で差はありません。つまり、部活に時間を割けば、自ずと勉強時間が少なくなることになります。この差を何らかの形でカバーしない限り、この差が受験において決定的なものになることはお分かりいただけるのではないでしょう。
どのようにしたらカバーできるのか? 次にはこの点について考えてみたいと思います。
受験勉強をすぐに始める(高1・2生)

ひとつは高1・2生が対象となりますが、受験勉強をすぐに始めることです。とにかく生活習慣に一定の勉強時間を確保するように生活習慣を変え、受験勉強を速やかに始めることが部活と両立する上で最善の策ではないかと思います。
当然、すぐに取り入れることは難しいかも知れません。ただ、大学受験は高校生にとって大きな岐路になります。また今後の人生にも少なからず影響するものです。それだけに受験と部活の両立を望むのであれば、それなりの覚悟は当然必要となります。ここは一念発起して、受験勉強を早期から始めてみてください。
高3生は差をどのようにカバーできるか?

現時点で受験勉強を開始していなければ、かなり厳しい状況にいることは理解してください。とは言え必要な勉強時間を確保するためにも今すぐに受験勉強を開始してください。まずはスタートすることが肝心です。
効率よく勉強する方法の代名詞として、スキマ時間の活用があります。どれくらい時間を捻出できるかがカギとなりますが、その前にスマホを遠ざけることも一定の効果があると思います。思いの外、スマホをのぞき込んでいる時間は多いものです。
効率以上に効果性を考えてもらいたいと思います。最近では良質な問題集・参考書は豊富に販売されています。書店で自分に合ったものを選んで取り組んでみることも良いと思います。また最近では効果性の高い動画コンテンツも配信されています。こちらも併用してみると良いでしょう。
また仲間同士で教え合いながら勉強するピアラーニングなども効果性が高いと思います。特に教えることは自身の理解を定着させることにも有効です。自分が理解したことを周りの人に教えてあげてください。
志望校の見直しも一考の価値ありです。これはランクを下げるということではなく、大学名や偏差値などに左右されて志望校を決めていることが多々あるからです。これから始まるオープンキャンパスなども活用して、自分が行きたい、行ってみたい大学・学部を今一度考えてみることをお勧めします。このとき、研究室のサイトなどものぞいてみると思いもよらない情報に巡り合うことも良くあります。また国公立大学だけでなく、私立大学にも視野を広げてみると良いでしょう。
志望校を変更せずに頑張ってみたいという人は浪人も視野に入れて最後まで頑張ってみててはどうでしょうか。この選択は保護者の方とよく相談した上で決定してください。今は人生100年時代です。1年2年浪人したとしても人生においてビハインドとなることはほとんどありません。それよりも自身で志望する大学に進学することの方が何よりも大切ですので。
大学受験は高校生にとって一大事
中途半端に部活を辞めたり、大学受験を妥協することはお勧めしません。これまで頑張ってきた努力を否定することになってしまいます。あくまでも自身の納得の行くところまで部活は続けたら良いと思います。しかし部活に勤しんだために大学受験を妥協することはお勧めできません。大学受験は高校生にとって一大事です。その後の人生に少なからず影響のあることです。それだからこそ、皆さん一人ひとりにとってより良い選択をして欲しいと思います。