
前回、『孫子』に学ぶ受験必勝法として、
準備編(『孫子』に学ぶ受験必勝法 準備編_豊明×塾×高校生×中学生 – Learning Base AWAKE)
実践編「自分を知る」(『孫子』に学ぶ受験必勝法 実践編 自分を知る 豊明×塾×高校生×中学生 – Learning Base AWAKE)
をご紹介いたしました。今回は実践編の続編として「負けない態勢づくり」をご紹介いたします。

負けない態勢づくりとは?
「戦わずして勝つ」
これは『孫子』の真骨頂である表現です。頭の中が???となってしまうのではないでしょうか。孫子がポイントとしていることは、「戦わなくてよければ、戦わずして頭を使って勝つ」、ということです。さらに戦わなければならないなら、「負けないためにどうするか?」を真剣に考えるということです。目から鱗である表現ですが、よくよく考えてみると頭脳戦で勝利すると言い換えられるのではないでしょうか。
受験は戦いに例えられることがありますが、それでは「受験で負けないためには?」となると、
守りを固める → 負けない態勢づくり
を考えることになるのではないでしょうか。私が大学受験したころは今に比べると情報がとても少なく、偏差値至上主義的な考えのもとに根性論で勝つことばかり考えて受験を乗り越えてきたように思います。しかし、負けないことを前提として考えてみると違った対策がみえてきます。そこで「負けない態勢づくり」のためのカギとして「勝敗を決める材料を見極める」を具体的に以下の7つに絞ってみました。ただし、個人ごとに性格や特性が違うため、利を生かすためには一人ひとりが積極的かつ自主的に考え・行動することが大切です。変われるのは自分だけですから。
それでは一緒に考えてみましょう。
①実力
自分の「現在位置」を把握すると言い換えると分かりやすいかも知れません。学校の定期試験や模試などの成績から自分の現在位置を把握してください。これまで多くの学生をみてきて、特に模試となるととかく合格判定や偏差値ばかりに目が行きがちです。その気持ちはよく分かりますが、現時点で何が弱点であるのか、補強すべきポイントはどこなのか、などをしっかりと把握することの方が大切です。また夏の時期でしたら、実際に志望する学校の過去問にチャレンジしてみることで、合格への距離感を把握してみることもよいと思います。「過去問ができなかったらショックを受けるのでは?」と言われますが、それではいつになったら適切な時期なのでしょうか?また、今から時間をかければその距離感は確実に縮まるのでしょうか?それよりもいち早く距離感を把握することの方が大切ではないかと思います。さらに分かれば対策の打ちよう出てきます。
②勉強時間・残り時間
入試までの残り時間を正確に把握してください。皆さんに与えられた時間は有限です。そのことを自覚した上で時間をどのように活用・利用するのかを考えてみてください。特に国公立大を志望している学生は二次対策以外に共通テスト対策に時間を割く必要があります。教科数が多いため、得意以上に不得意教科対策に骨が折れることになります。しっかりと対策をとりたいものです。
③環境
環境として挙げられるもので重要なのが学習環境です。自分が安心して勉強できる居場所となるようなところを確保することを心がけてください。自分の部屋、自習室、図書館、教室などなど、人それぞれで居場所は異なるものです。
さらに、受験をする上で保護者のサポートは欠かせません。そのためには保護者とのコミュニケーションを大切にしてください。しかし思春期の学生も多いでしょうから、少なくとも「自分の将来」について、保護者に話すようにしてください。「○○を学ぶために大学に行きたい」「将来○○を目指したい」のようなもので結構です。
また刺激し合える仲間の存在も心強いものです。私は浪人していますが、予備校の仲間からいつも刺激をもらっていました。できれば同じような志望校を目指している仲間と一緒に勉強するのもよいと思います。
④勉強量
「②勉強時間・残り時間」のための具体的対策と捉えていただくとよいかもしれません。「何をどのくらいやるのか」よく考えてください。
具体的には「何を」は教科や問題集・参考書などを指します。「どのくらいやるのか」は例えば、「問題集を3周やる」のようなものです。
いつまでにやるのか、期限を設定することも大切です。
⑤カギとなる教科(英語・数学)
「武器となる教科」と言い換えた方が分かりやすいと思います。たくさんあるに越したことはありませんが、3・4教科を挙げる人をみたことがありません。多くて2教科くらいでしょうか。しかし武器となる教科は他の教科を牽引してくれるドライビングフォースになり得ます。武器となる教科が既にあれば、それを伸ばしてください。もしなければ少しでもできると感じている教科を武器としてもいいでしょう。武器となる教科が伸びると他の教科も伸びる傾向にあります。ここから半年以上ある受験期間できっと力強い牽引役となってくれることでしょう。ただし、武器となる教科ばかりに専念してしまうことは禁物です。何ごともバランスを大切にしてください。
⑥独自の必勝法
一人ひとり個性があり、必勝パターンと言っても人それぞれです。野球などでは「勝利の方程式」などと言われることもありますが、皆さんの必勝パターンを考えてみてください。「得意な数学を得点源にする」もその一例です。効率よく勉強するために脳科学を応用した「脳を飽きさせない方法」も必勝法と言えます。
受験=勉強と捉えられがちですが、メンタルの要素がとても大きいことを覚えておいてください。これまで多くの学生をみてきましたが、ほとんどすべての学生が「心配で寝付けない」「不安で押しつぶされそう」などメンタル面で苦労していました。まだまだ時間がありますのでご自身に合ったメンタルを保つための方法を模索してください。
⑦必要な偏差値・合格最低点
偏差値は母集団によって左右される指標です。そのため偏差値に全幅の信頼を置くことは得策ではありませんが、あくまで指標として「どれくらいの偏差値が必要なのか?」このチェックは必ずしていただきたいと思います。「現在位置」との「距離感」をはかる上でとても大切です。
さらにもう一つ調べておいていただきたいものがあります。それはほとんどの大学で公表されている「合格最低点」です。偏差値ばかりに気を取られていると、よもやトップで合格するかのごとき思考となってしまいます。トップ合格を望んでいるのであれば致し方ありませんが、そうでなければ最下位でも合格は合格です。現在位置との距離感を詰めるための有効なデータとして活用していただきたいと思います。あくまでも「逃げ道」ではなく、「安心材料」「心のゆとり」のためにこれを参考にイメージを膨らませてください(得意な数学で7割確保できればかなり楽になる、など)。また合格後のバーンアウトを防ぐためにも有効だと思います。
最後に
いかがでしたでしょうか。「負けない態勢づくり」と題して「勝敗を決める材料を見極める」7つのポイントを提示させていただきました。受験生の皆さんの参考になれば幸いです。