大学受験を目指す高3生の多くが頭を痛めているのが、共通テスト数学の対策のように感じています。確かにセンター試験から共通テストに変わってからは出題形式や問われる内容が一部変化しました。それに伴って、特に体感的に難易度がアップしたと思います。多くの受験生が頭を痛めているのが、問題の文章が長文化したことではないでしょうか。長文化した問題を読む時間が大幅にかかるようになりました。さらに問題を読み解くための読解力も要求されるようになりました。これは受験生にとってかなりの負担であることは事実です。
それではどのように対処したらよいのでしょうか?
「出題形式に慣れる」「長文を攻略するために読解力を向上させる」「時間配分を考えて短時間で解けるようにする」などなど、他にも様々な対策が考えられると思います。
ここで注目しておきたいことは、問題が長文化してはいますが、問われていることの難易度はセンター試験と比較しても大きく変化していないことです。しかし指導している高3生の多くからは「時間がもう少しあったら解けるのに・・・」という意見をよくもらいます。つまり「足りない時間をどう工面するか」が本質的な問題と考えられます。とは言っても、出題形式に慣れて短時間で解けるようになることは容易なことではありません。たとえ出題形式に慣れたとしても、パターンが少しでも変われば対処できなくなる可能性もあります。
当塾では一人ひとりに合わせて適切な指導を行っていますが、指導している内容でも成果のあったものについてご紹介させていただきたいと思います。万能薬ではありませんが、ひとつの考え方として参考になれば幸いです。

1. 捨てる問題を決める
少々過激な表現かも知れませんが、時間がない以上、腹を決めて捨てる問題を考えてみてはどうでしょうか。どうしても受験生の性としてすべての問題に着手したくなってしまいますが、共通テストの数学は例外です。我々の時代の共通一次テストであれば、数学の満点を取ることを前提として考えることもありましたが、現在の共通テストで満点を取ることは至難の業です。多分8割越えもかなり難しいのではないでしょうか。しかし数学で痛手を被らないようにすることは共通テストを成功に導くためのポイントとなりますので、現実的な線で得点することが重要なのではないでしょうか。文系・理系によって現実的な線が異なるでしょうが、6~7割といったところではないでしょうか。
では具体的な内容に進みたいと思います。捨てる問題を考えると大まかに2通りあるかと思います。ひとつは「大問1つを捨てる」こと、もうひとつは「大問の後半の難しい問題を捨てる」ことです。
1-1. 大問1つを捨てる
ここでは例として2025年の問題を例に取り上げます。全問必答である数IAでは、大問1、2、3、4でそれぞれ配点が30、30、20、20点です。一方、選択問題のある数IIBCでは必答の大問1~3がそれぞれ15、15,22点であり、選択問題の大問4~7が各16点です。どの大問を捨てるかは分野の得手不得手によって決まるでしょう。決めたら過去問を解いて検証してみてください。得られた時間を他の解答する問題に充てることでどれくらい点数が向上するのかを。
1-2. 大問の後半の難しい問題を捨てる
皆さんもお気づきだと思いますが、各大問の後半には少し時間のかかる問題があります。しかしこれらの問題の配点はさほど高くないことはあまり知られていません。一度配点表をご確認してみてください。実際に計算していただくとよいですが、だいたい7割くらい確保できると思います。こちらも検証してみて、工面した時間を充てることで点数が向上するようであれば、ひとつの対策案として考えられるのではないでしょうか。こちらは大問を1つ捨てるよりも、解けるようであれば大問を完答できるメリットがあります。ただ、完答が頭をよぎるといざというときに捨てることが難しくなるかもしれません。予め完答に持ち込むためのルール的なものを決めておく必要があるでしょう。
2. 各分野の理解を深める
こちらは足りない時間の工面の仕方というよりも最近の出題傾向に関する対策です。センター試験は問題の処理能力を問う出題が中心でしたが、共通テストでは処理能力に加えて、分野の原理や概念を本質的に理解できているかを問う出題が増えてきました。平成29年の試行調査で出題された微積の問題はとても秀逸な良問ですが、ここまでの理解を求められるのか、と驚いたくらいです。これは教科書や参考書のまとめに記載されている内容をしっかりと理解することで対処できることがほとんどです。しかし、多くの受験生はこのようなものを理解するよりも実践面に目が向いてしまっています。これは致し方のないことではありますが、今一度、教科書などに立ち返って各分野の内容の理解・把握に努めてみてはいかがでしょうか。その後に問題を解いてみると見える景色が変わると思いますので。
最後に
共通テスト数学でどれくらいの点数を確保できるのか?これは受験生にとって大きな問題だと思います。そこで今回は当塾で成果のあった対策について紹介させていただきました。決して万能薬ではありませんが、ひとつの考え方として参考にしていただければ嬉しく思います。
共通テストまであと4か月を切りました。皆さん、がんばってください!