共通テストと世の中の変化
国公立大だけでなく私大入試にも利用されるようになった大学入学共通テスト。2021年に「センター試験」から「共通テスト」に名称変更され、出題形式が変化しました。特に大きな変化としては、問題量が大幅に増えたことです。問題を読み解く力(読解力)や論理的に考える力(論理的思考力)が求められるようになり、難易度が格段に上がりました。
2025年からは「情報」が必須となり、900点満点から1000点満点になります。さらに一部教科では出題範囲や科目選択の仕方が変わり、特に数学IAIIBはIAIIB+Cへの範囲変更により受験生の負担は大きくなることが予想されます。
ここで上記のような共通テストにまつわる変化を考えてみると、世の中の変化や流れに少なからず影響を受けているとも捉えられます。つまり、論理的思考力+読解力が求められるということは、知識・技能だけでなく、思考力・判断力・表現力を兼ねそろえた人材が求められるようになってきたと考えられます。さらに情報や数学のような科目の変化を考えると、今の情報化・データ社会を反映していると考えられます。数年前から、早稲田大学や慶應義塾大学の文系でも数学を必須にする動きがあります。情報化・データ社会では、データや数式をもとに考えることが圧倒的に増えると予想されますので、将来の動向を考慮すると、このような動きはある意味理に適っていると言えます。
共通テストは受けるべきなのか?
共通テストの難化などの影響から、「共通テストを受けるべき?」とよく尋ねられます。総合型選抜や学校推薦型選抜など受験が多様化する中、共通テストの位置付けは必ずしも高くないと考えられます。しかし国公立大学における総合型選抜や学校推薦型選抜の割合は全体の20%程度です。つまり、国公立大学への進学を考えている学生にとっては、共通テストを避けて通ることは難しいと言えます。また共通テストを受けることを前提と考えている高校、特に進学校はまだまだ多いのではないでしょうか。そうであれば、私立大学の受験では「共通テスト利用」「共通テスト併用」のような受験の仕方がありますので、共通テストを有効活用しない手はないでしょう。
先に記載したように、共通テストでは論理的思考力や読解力が必須であり、共通テストを乗り越えることで鍛えることができます。さらにこれらの能力は、将来皆さんが社会に出てからも役に立つ一生ものとなるはずです。
このように考えると、共通テストを積極的に受けることは、意義あることと考えます。
対策はいつから始めればよいのか?
結論から申しますと、対策の開始は早ければ早いほど良いでしょう。可能であれば高1、遅くとも高2の早期から始めることをお勧めします。
理由としては…
センター試験と比較すると共通テストは確かに難しくなっています。問題量が多く、読解力や論理的思考力が必要であることも事実です。また、「情報」が加わり、英数国理社情の6教科8科目と幅広い知識が問われることになります。センター試験では高3の秋ごろから対策を始めても間に合っていましたが、問題量や科目の増加や難易度を考えると、時間を味方につけることが得策だと考えられます。また当然のことながら、高1・2で学ぶ内容も出題されます。つまり学んだ先から基礎を押さえた基礎固めを進めておくことを高1・2から始めても良いのではないでしょうか。
このように考えると、高3での1年間の短期戦とはなりません。そうなると受験勉強と捉えるよりも日々の学習の中に取り入れていく方が得策です。つまり、学習に対する意識を変えることが大切です。多くの学生は定期テスト直前だけ勉強していると思いますが、意識を変えて日々学習する習慣を身に着けるようにしてみてはいかがでしょうか。人生100年時代を迎え、生涯を通して学習をする必要が出てきている昨今、身に着けた学習習慣は将来大きなアドバンテージになると考えられます。
最後に
大学入学共通テスト対策の第一弾として、私見を述べさせていただきました。記載内容は必ずしも絶対的なものではありませんが、皆さんの一助となれば幸いです。
近いうちに第二・三弾として、学習方法など具体的な対策をご紹介したいと思います。