具体的な共通テスト対策の前に…
共通テストについて多くの受験生の方から受ける最も多い質問は「対策として何をすればよいのか?」です。これは、筆者が受けた「共通一次テスト」、その後の「センター試験」でも多くの受験生が抱いた疑問です。しかし、2021年にセンター試験から共通テストに変わってから4年しか経っていませんが、2025年の共通テストから出題範囲や科目の選択の仕方が変わります。今年の受験生の心配、特にその度合いは例年以上ではないでしょうか。
筆者も経験しましたので、皆さんの心配はよく分かります。そうしている間にも無情にも試験は刻々と近づいてきます。そこで少しでも心配を払拭するため、まず共通テストのことを知ってみてはどうでしょうか。
共通テスト問題作成方針
大学入試センターは「共通テスト問題作成方針」を発表しています。その中の「問題作成の基本的な考え方」について「令和6年度」(2024年実施)と「令和7年度」(2025年実施予定)を一覧表にしてみました。
(参照)
令和6年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針.pdf (dnc.ac.jp)
令和7年度大学入学者選抜に係る大学入学共通テスト問題作成方針.pdf (dnc.ac.jp)
令和7年の方が項立てにより分かり易くなっていますが、記載内容が著しく違うということはありません。基本的には「思考力、判断力、表現力」が求められることは変わらないと思われます。しかし、令和7年度では「深い理解を伴った知識の質を問う問題」(赤字箇所)と加筆されていたり、「探求的に学んだり共同的に課題に取り組んだりする過程を、問題作成に効果的に取り入れる」(青字箇所)と記載されています。
このようなことから、基本的に求められる力は大きく変わりませんが、出題内容や形式が若干変わってくることが予想されます。
試作問題
大学入試センターからは試作問題が発表されています。特に2025年から必須となる「情報」については、今回の試作問題が共通テスト形式として公表される初めての問題です。一度は必ず解いておくことをお勧めいたします。まずは下にあるリンクを参照してください。
令和7年度試験の問題作成の方向性、試作問題等 | 独立行政法人 大学入試センター (dnc.ac.jp)
「情報」以外には「英語」「数学」「国語」「地理歴史」「公民」の試作問題が公表されています。今回、筆者が指導している英語・数学・国語(現代文)について試作問題の確認を行ってみました。
英語は「筆記」と「聞き取り」とありますが、基本的には従来を踏襲したものと思われます。
数学ですが、数学IAについては従来を踏襲したものと考えられます。一方で数学IIBCについては、第4問~7問から3問を選択する必要があり、各問題の分野の内訳は以下の通りとなっています。
第4問: 数学B 「数列」
第5問: 数学B 「統計的な推測」
第6問: 数学C 「ベクトル」
第7問: 数学C 「平面上の曲線と複素数平面」
これまで受験生を指導してきて、「統計的な推測」を選ぶ学生がほとんどいませんでした。この傾向に変化がないのであれば、数学Cの「ベクトル」と「平面上の曲線と複素数平面」を選択することになります。旧課程では「ベクトル」は履修分野でしたが、「平面上の曲線と複素数平面」は数学IIIに分類されていました。つまり、「統計的な推測」を回避する場合、「平面上の曲線と複素数平面」は負担増となる可能性があります。
最後に国語ですが、構成が以下のように変更されます。
第1問: 現代文(配点45)
第2問: 現代文(配点45)
第3問: 追加される現代文(配点20)
第4問: 古文(配点45)
第5問: 漢文(配点45)
従来、現代文は2問で構成されていましたが、もう1問(赤字箇所)増えて3問の構成となります。配点は現代文(2問)・古文・漢文からそれぞれ5点が追加される現代文に移行されます。これにより、現代文は計110点、古文・漢文は計90点と若干現代文に偏った配点となります。
さて、追加される現代文はどのようなものでしょうか。試作問題は図やグラフなどを活用した問題で、多くの受験生にとってこのような問題形式はあまり触れたことのないものだと思います。最終的にこのような問題になるのかは本番を迎えてみないと分かりませんが、一度試作問題に触れてみて感触を確かめてみたらどうでしょうか。
最後に
大学入学共通テスト対策の第二弾として、「共通テスト問題作成方針」「試作問題」についてご紹介させていただきました。共通テストの変更を迎えるにあたり、何かしら皆さんの一助になれば幸いです。