これから大学受験を控えている高3生の皆さん、志望校をどのように選ばれましたか?またどのように選ばれる予定ですか?これまでに多くの受験生に接してきましたが、例年、「大学名」「偏差値」を参考にして選ばれている方がとても多いとの印象を持っています。これらは確かに、志望する大学に合格できる実力に達しているのかを分析・判断する上でとても大切な指標です。しかし中には、ブランドとして「大学名」を決めてから、現在の実力で合格できる可能性のある学部を「偏差値」から選択するような流れで志望校選びをされている方が居られるのではないでしょうか。今回は少し違う視点からの志望校選びについてご紹介したいと思います。
研究機関としての大学
大学は教育機関としての側面もありますが研究機関です。専門的な学問を学び、研究するところです。つまり、学部や学科により、研究する内容が大きく異なります。
例えば、私の学んだ大学の農学部にはその当時、「農芸化学科」「食品工業化学科」「農学科」「畜産学科」「林学科」「林産学科」などがありました。その中で私の進んだ「食品工業化学科」は「農芸化学科」と一括りとなっていて、その下には10を超える研究室があり研究内容も様々でした。つまり、どの学科、どの研究室に進むかで研究内容が全く異なることになります。さらに、この違いはその後の進路(就職)にも少なからず影響することになります。
このようなこと、知っていましたか?せっかく苦労して受験を乗り越えて大学に進学する以上、興味あることに携わり、研究に従事したいものですよね。
志望校選びで参考となる情報
先の内容から、志望校選びに参考となる情報としては、「学部」「学科」「研究室(ゼミ)」が挙げられます。志望する大学や学部のホームページを閲覧することで様々な情報を得ることができます。研究室(ゼミ)について紹介されているページからは、教員に関する情報や研究室から発表されている直近の研究内容の情報(論文情報)も得られることがあります。論文情報と言っても公開されているものは「タイトル」「雑誌名」くらいですが、どのような研究分野に力が注がれているのかが分かります。つまり、合格後にその研究室に所属すると、直近で研究されている分野に携わる可能性が高いと考えられます。研究内容を「点」と捉えると、研究室・学科は「線」であり、学部は「面」のようなものです。進んでみてからイメージが違うなどとならないためにも、面や線のような概要的な情報だけでなく、点のような具体的かつ詳細な情報を得ることをお勧めいたします。
その他の参考情報
書籍、雑誌、インターネット、動画サイトなど、今では受験に関する様々な情報を簡単に入手することが可能となりました。私が受験したころと比較すると目を見張るばかり。中でも有効活用していただのが「オープンキャンパス」です。実際に現地に赴くことで、キャンパスの雰囲気を味わうだけでなく、模擬講義に参加することで大学の講義を体感することができることができます。当然、学部や学科についての詳しい話を聞くことができますが、最近では皆さんと歳の近い在校生から生の声を聞くこともでき、メリット尽くしだと思います。またコロナの影響もあり、ネットでのオープンキャンパスも盛んに行われています。特に遠距離にある大学の場合、現地に赴いてオープンキャンパスに参加することは何かと難しいですが、ネットのオープンキャンパスを利用することで、少しでもイメージを膨らますことが可能です。ただ7~8月の夏休み期間に開催されることが多いため、今は時機を逸してしまっていますが、まだ行っているところもありますので、よく調べてみてください。また、高1・2生の皆さんは来年の夏に是非とも参加してみてください。
おわりに
今回ご紹介しました内容は、大学受験を志す学生と一緒に志望校選びをする際、私が実際に活用しているものです。4年前に大学受験のお手伝いをさせていただいた、建築学を学んでいる大学4年生と話をしていた際、「他の大学と少し違う環境に関連した建築学は自分にとても合っていて、進んでよかった」と言ってくれていました。彼女はスーパー大手のゼネコンから内定をもらい、来年の春からは社会人として、夢への一歩を踏み出します。今回ご紹介しました内容が、皆さんが夢を実現する上で参考となれば嬉しく思います。