令和6年全国学力・学習状況調査
令和6年全国学力・学習状況調査(以下リンク)によると、中学生の英語の平均スコアが前回令和3年に実施されたときのスコアを大きく下回ったとの結果が報告されました。
【資料2-2】令和6年度経年変化分析調査・保護者に対する調査の結果(概要)のポイント
2020年4月、英語教育が小学校から開始されるようになりました。世界の急速なグローバル化を考えると当然の流れだと思われます。それから数年を経てのこの結果、とても意外なように思われるかも知れません。しかし日々学生に英語を教えながら、年々英語力が低下しているように感じていただけに、個人的には合点のいく結果でした。
英語に対する苦手意識の強い日本人
元々日本では英語に対して苦手意識のある学生が多い傾向にあります。現に私もそうでした。日本人が英語を苦手とする原因として、「言語文化の違い」「発音の違い」「語順の違い」などが挙げられます。ただ、アジア系の人たちも日本人と同様にこれらの違いを目の当たりにしているはずです。しかし個人的な経験ではありますが、日本人の苦手意識の方が圧倒的に高い印象を持っています。
英語に対する苦手意識の根本的な原因の究明などは専門家にお任せするとして、ここからは日々中学生や高校生に英語を教えながら、個人的に注目している点をご紹介させていただきます。それは、「空所補充問題」や「並べ替え問題」などは解けるが、「和訳」や「英作文」となると全く解けない学生がとても多いことです。小学生から塾に通って英語を習っているという学生でもこの傾向は変わりません。ひょっとしたら悪いかも知れません。
英文が読めない・理解できない
「なぜこのようなことになっているのか?」と疑問は残りますが、どうも「英文が読めない・理解できない」といった状況なのだと思います。中学で英語でつまづいてしまうと当然のことながら高校でも、さらには大学や社会人でも同様なこととなってしまいます。以前付き合いのあった大学関係者から、「最近の大学生は中学の英語すら理解できていないので、大学で中学英語を教えるようにしている」と聞いたことがあるくらいです。
主語・動詞を捉える
本ブログでは「英語勉強法」と題してこれまでに以下の4つを紹介させていただきました。
英語勉強法:英和辞典を活用する 豊明×塾×高校生×中学生 – Learning Base AWAKE | Learning Base AWAKE
英語勉強法:音読の有効性 豊明×塾×高校生×中学生 – Learning Base AWAKE | Learning Base AWAKE
英語勉強法 文構造を把握する 豊明×塾×高校生×中学生 – Learning Base AWAKE | Learning Base AWAKE
英語勉強法 書き写しによるアウトプット 豊明×中学生×高校生 – Learning Base AWAKE | Learning Base AWAKE
今回の内容はこれらのうち「音読」「文構造把握」「書き写し」に関連するものとなります。
英文では例外を除いて主語が必要です。また日本語とは語順が違い、主語のすぐ後に動詞がきます。英語ではこの「主語と動詞の把握」がとても重要です。英文を理解する上でカギとなるといっても過言ではありません。
単純な構造の英文の場合、主語と動詞を把握することは難しくないと思います。しかし少し複雑な構造を持つ英文となると、その把握の難易度は著しく上がります。ここでは指導してきた学生の多くが間違える例を二つ取り上げてみました。例1は高校入試問題から、例2は大学入試問題からピックアップしたものです。主語と動詞に注意しながら以下の英文を読んで和訳してみてください。
(例1) The money made by selling them is used for the people who need help.
主語は「The money (もしくは The money made by selling them)」、動詞は「is used」となります。
made を本文の動詞と勘違いする人が多いようです。すぐ後ろの by は受動態で用いられるものですが、 made の前に be動詞 がありません。つまり made by selling them が The money を後ろから修飾していると判断できます。後半に登場する who は関係代名詞ですので who need help が the people を修飾していることが分かります。
このようなことから和訳は次のようになります。「それらを販売することで作られたお金は必要とする人たちのために使われる」
以下の(例2)は大学入試問題ですので(例1)と比べると難しいと思いますが、挑戦してみてください。
(例2) And algorithms designed to be engaging compel many social media users to scroll longer than they intended.
主語は「algorithms (もしくは algorithms designed to be engaging)」、動詞は「compel」となります。
本文の動詞として勘違いされるものとしては例1と同様に、主語の直後の designed が挙がるようです。しかし algorithms に対して designed は「アルゴリズムが興味を引くようにデザインした」より「興味を引くようにデザインされたアルゴリズム」と受動態として後ろから修飾していると捉える方が自然です。また compel を知らない・意味が分からないことも原因のようですが、たとえ compel の意味がわからなかったとしても、 many social media users をかたまりとしてとして捉えられると目的語であると分かり、 to scroll longer から「多くのソーシャルメディアユーザーがより長くスクロールする」とつながってくることが見えてきます。そうなると compel が動詞ではないかと気づくことができるかと思います。
このように考えると和訳としては以下のようになります。「そして興味を引くようにデザインされたアルゴリズムは多くのソーシャルメディアユーザーに、彼らが意図しているよりも長くスクロールするように仕向けている」
このように主語と動詞が把握できると文の大意が見えてくるのではないでしょうか。しかしさらに正確に読み解いていくには他のポイントがあります。
ポイントは「後ろから修飾」を見抜くこと
主語などの名詞が後ろから修飾されるとき、関係代名詞、to不定詞、分詞(現在分詞・過去分詞)などが使われます。関係代名詞、to不定詞による修飾は比較的分かりやすいと思います。問題となるのは分詞、特に過去分詞による修飾ではないでしょうか。例1・2のどちらの主語も過去分詞により後ろからの修飾されています。しかし例1が分かりやすいと思いますが、前から読み進めながらたとえ made を動詞と捉えたとしても、そのあとに is used が出てきたところで「これはなに?」と疑問が生じます。そのとき、先の made が過去分詞で The money を後ろから修飾しているのではないか、と捉えてみると文意が見えてくるのではないでしょうか。
中学英文法の見直し
英文を読みながら瞬時にこのような判断ができるようになるにはどうしても訓練が必要です。そのためには日頃から様々な文章に触れることが大切です。しかしもっと早く習得したい方も多いのではないかと思います。そこでお勧めしたいのが「中学英文法」の見直しです。特に関係代名詞、to不定詞、分詞(現在分詞・過去分詞)が理解できるようなるだけでも変わってくると思います。
「なぜこのような言い回し・訳になるのか?」、それを理解するためには「文章の構造を読み解くこと」が必要です。その基礎的ルールが詰まっているのが「中学英文法」です。「中学英文法」が理解できるようになると大学入試レベルの英文の理解もしやすくなるはずです。
よかったら試してみてください。